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■新刊紹介■
『メディア・ビオトープ――メディアの生態系をデザインする』 (水越 伸著・紀伊國屋書店・定価1575円) 黒猫房主 「メディア・ビオトープ」とは聞き慣れない言葉だ。それもそのはずで、この言葉は著者による造語なのだ。もともとビオトープとは生態学の用語で、「生物の棲息に適した小さな場所」を意味する。そのビオトープにメディアを複合させてあらたな戦略概念を造り出したのだ。その企図するところは下記の通りである。 「小さな点のような空間にいろいろな生物が棲めるように工夫をし、点と点をたがいに結びつけ、網の目状に育み、ゆっくりと時間をかけて地域の生物生態系を再生する。ビオトープとはそいう日常生活に根ざした生態学的な戦略のことをいう。日本では里山保全運動がこれと深く結びついている。 昨今、情報デザインやメディア・リテラシー(「媒体素養」という訳語もある)の重要性が言挙されることが多くなった。それは、一方的に享受するだけのメディア消費者からの自律と循環を促している。しかしそれは可能なのだろうか。そして自律的・主体的な「個人」は存在するのだろうか。 それはまた次のような問いにも変奏される。インターネットが普及してさまざまな可能性がでてきたが、果たしてそれを用いて社会変革を起こすような「個人」が今の日本人には存在するのだろうか、という老哲学者・鶴見俊輔のペシミスティックな問いである(季刊「本とコンピュータ」1998年春号掲載)。それは鶴見の挑発でもあったが、その挑発に真顔で応じたのが著者の水越である。 その回答として書かれた本書の特長は、難解な専門用語を使わず自筆のイラストで視覚的に解説されていることや、事例が具体的で比喩が巧みなことだ。かてて加えてメディア状況の分析や批評だけに終わらず、あらたな持続可能なメディア環境の組み替え(デザイン)をしていくための仕掛けが組み込まれていることにあるだろう。 それは例えば、「創造知」へと発芽する球根育成の比喩で語られる。あるいは「点」として孤立したままのメディアではうまくゆかないが、それらを結びつけて「面」に育てることで、国家や資本にやすやすと引き裂かれたりつぶされることなく、徐々に社会の変革がなされてゆく道筋として示される。 しかしその根底には、深いニヒリズムがあると著者はいう。それは、「現代のメディア環境が抱える問題の深さと拡がりを、たじろがずにじっと見つめ、どこにも逃げずに心の底から理解しようとする態度のことだ。そしてそれらの問題とともに生きていこうとする覚悟のこと」なのだ。 この覚悟は、積極的ニヒリズムと呼ばれてよいと思う。だから著者は続けて次のように言い得るのだろう。「メディア・ビオトープは、ニヒリズムに裏打ちされ、だからこそ希望と可能性を志向する、実践的な隠喩の体系なのである」と。 可能性を現実化するのは、希望という志に違いない。平易な文体と二項対立的ではない発想のしなやかさも手伝って、読後感の気持ちのよい本(スケッチブック)である。
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by kuronekobousyu
| 2005-03-01 00:20
| 47号
黒猫房主の周辺
★昨日、確定申告をすませた。なぜか晴れ晴れとする気分なのだ。別に税金を納めるのが善良な「国民」として嬉しいとかではなく、年度末の気懸かりで面倒な申告作業から解放された、安堵感のようなものか。 ★水越伸さんの新刊を読みながら、本誌創刊のころを想い出していた。 (本誌創刊の辞 http://homepage3.nifty.com/luna-sy/re01.html#01-1 ) ★本誌は独立系の小さな評論メディアだが、それに自足することなく「点」から「面」への協働を活性化したい。(黒猫房主) #
by kuronekobousyu
| 2005-03-01 00:00
| 47号
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